ハサミ比較 - Victorinox vs Wenger
ビクトリノックスのハサミには薄い板バネが使われているが、ウェンガーの方は本体側のツール固定スプリングをうまく利用するように出来ている。
ビクトリノックスの方が構造的に弱いのは一目瞭然で、その内に金属疲労で板バネが折れるであろうことは容易に想像がつくし、実際によく折れるため、板バネの交換はビクトリノックスの最もメジャーな修理内容になっている。
対してウェンガーの方は、元々はビクトリノックスと同じ方式のハサミだったのだが、70年代半ばにこの方式で特許を取得して切り替えており、以降トラブルがほとんど無いのが同社の自慢の1つであった程だ。 またウェンガーのハサミは刃が細かいギザギザ(セレーション)になっており、食い込みが非常に良く、使い心地にも大きな差があるのに加え、使用の度に自動的に刃が研がれて切れ味が持続する構造になっており、本当によく出来ていて感心する。
このように、ハサミについてはウェンガー方式の方が格段に優れていると言っていい。
ハサミは使用頻度が高いツールなので、これが理由のファンは多いのだ。
しかし現行モデルでも、ビクトリノックスは本流モデルには旧来のハサミを搭載し続けている。
ただ、相当数あるウェンガー系統のモデルでは、缶切りとリーマーはビクトリノックス方式のものに置き換えたものの、ハサミはそのままウェンガー方式のものを搭載し続けている。
このハサミを望む声が大きいため、ビクトリノックスは自社型でウェンガー方式を全て置き換えることが出来ずにいるのだと思う。
ビクトリノックスにも大人の事情があるのだとは思うが、優劣はあまりに明らかなので、将来的には是非ともウェンガータイプに統一して欲しい。
しかし現状で気になるのは、これを書いた時点で、ウェンガーのハサミを搭載したスモールサイズのモデルが、爪切り付きのモデルを除くと、ウッドハンドルの1モデルしか本家サイトには記載されていない、英語サイトでも同じだ。
まさかスモールサイズからウェンガー方式のハサミを無くするつもりなのだろうか?
ともあれ、ウェンガーのハサミが付いたスモールサイズが欲しい人は、早目に買っておいた方がいいのかもしれない。